出会い系アプリで青春しようとしたら、アムウェイの集会に連れて行かれた話 その2
前回の流れをざっくり言うと、なんかちょっと彼女欲しくね?と思った僕は、持ち前の思い切りの良さから出会い系を始め、そこで知り合った女性から、何故か急に紹介したい人がいると言われ、勝手に約束を取り付けられました。
怪しさマックスぅ!!!!
その1はこちらから
はい。
そんなわけで、相手の女性は言っていることもやっていることも胡散臭さしかないので、そこに疑問を抱かずに馬鹿正直に行くほどパッパラパーではありません。
友達や先輩に相談したところ、
「超面白いじゃん!行ってこいよ!」
という人もいれば、
「いや!絶対やばいって!行くのやめよ?」
という人もいて、賛否両論という感じでした。
とはいえ、相談してみたものの、正直なところ僕自身9:1で好奇心が不安に勝っていたので、最終的には行くことにしました。
行くならせめて相手の素性を知ろうと、ライン上で色々と質問をしてみました。
すると紹介したい人――Tさんは、とても力を持った人らしく、政界や芸能界にも多くの知り合いを持っているのだとか。そのTさんが僕にも是非会ってみたいと興味を示していて、これは凄く運のいいことだよ・・・という話をされました。
ええっとですね、
そんなことあります!?
ロクにやり取りもしてないのに興味もクソもあります!?好奇心旺盛かよ!
もはや怪しさ100%なんですが、行くと決めたからには仕方ない。Tさんのことはそれ以上訊いても教えてくれないので、相手の女性の素性だけでも知ろうとFaceBookで検索しましたが、いくら調べても出てきませんでした。
そして当日・・・
集合場所の駅で待っていると、一向に相手は姿を現しません。おかしいなあ、と思っていると、めちゃくちゃ怖いラインが送られてきました。
改札前で待っていると、そこから3-1の出口まで誘導されて、更に近くのローソンまで誘導されて、その後人気のない道を歩くように指定されました。
誰かー!大人の人呼んできて!
こわいこわいこわい。
マジで拉致される5秒前にしか思えないのですが・・・。怪しさコンテストって大会があれば間違いなくこの人が優勝するレベル。
警戒度マックスで指定された道を歩いていると、予想に反して普通にその子は現れました。この下りなんだったの!?じゃあ普通に迎えに来てよ。
そう思いつつ、その子と一緒にマンションの1室へ。とんでもない力を持っている人なのに、小さいマンションの1室なんですねーへえー。
イーサンハントになった気分で、案内された部屋に入ってみると、その瞬間全てを察しました。
なるほどね!
その瞬間、全てを理解しました。
そうと分かれば掛かって来いや!そっちの攻撃は全て見切った!
謎の余裕をかましていると、相手が早速仕掛けてきました。
「はじめましてー!Tです!来てくれてありがとねー」
めちゃくちゃ気さくに話し掛けてくれて、なんとコーヒーまで出してくれました。そのコーヒーがまた美味しいんですよ。一旦こいつを飲んで落ち着くぜ!
コーヒーを飲んでいると、少しの間そのTさんと雑談しました。Tさんはコミュ力が高く、その雑談が普通に楽しいんですね。警戒していたけど普通にいい人だなーと感心していると、自然な流れで本題に入ってきました。
「ところでさ、今の生活に満足してる?」
「あ、はい!してます!」
「あ、そうなんだ」
普通に雑談を楽しんでいたので、普通に返答してしまいました。しまった!と思いましたが、そこで諦めるTさんではありませんでした。
「アムウェイって知ってる?」
お、きたな!
雑談でいい感じに打ち解けてから、本題に入る作戦だったのでしょうね。
しかしアムウェイの存在は知っていました。当然、悪い評判も一緒に!だから僕はTさんの質問に対して、こう返しました。
「え、知らないです。なんですかそれは!?」
できるだけ相手にとって理想の反応をすることに決めました。
するとTさんは
「変な噂とか聞いたことあるかもしれないけど、全部嘘だからね」
いや、知らんゆーとるがな。
「えー、何も聞いたことないです」
そんな感じで適当に話を合わせていると、おかしなビデオを見させられました。
ビデオの内容は、
楽しそうに海でパリピしているアムウェイな人達の姿が映し出されていました。しかも何故かワンピースのウィーアーが無断使用されている。確かにありったけの夢をかき集めた光景になっていました。
「どう?楽しそうでしょ?」
そもそもパリピなノリが苦手なので、1ミリたりとも楽しそうとは思えなかったのですが、ここは相手に合わせようと、
「うわー!楽しそうー!」
などと適当なことを言っておきました。
「でしょ!もっと知りたくなったでしょ?じゃあこの本を読んでみて」
と言って、おかしな本を出されました。その本がこちらです。
まあ、そんな感じで、1時間ほど話したところで、僕のスマホに電話が掛かってきました。あ、ちょっとすいませんみたいな感じで、席を外しました。実はこの電話はあらかじめ友達に頼んでおいたもので、やばかったときに合言葉も決めておきました。
モハメドアリ
会話の中でそう言ったら助けてくれの意味です。僕は迷わずに自然な流れで「モハメドアリ」と言いました。その言葉を合図に、緊急脱出プロトコル発動です。
僕はTさんらにそろそろ帰らないといけないという旨を話しました。するとTさんはとんでもないことを口走りました。
「来週みんなでたこ焼きパーティーやるんだけど、よかったら来ない?」
「ふぁ!?」
まあ、行かなければいい話なんですが、当然のことながらこれにも行きました。Tさんとのあれこれは、正直普通に面白かったのですが、この後行くことになるたこ焼きパーティーのほうは、正直行かなければよかったと今でも思います。
その後、僕はモハメドアリを合図に、迎えに来てくれた友達の車に乗り込み、颯爽と姿を消しました。